まず最初に申し上げますと、 叩いた際の音だけでナットの緩みを判断することは、ほぼ不可能です。
これは感覚の問題ではなく、 実際の会社の検証によって明らかになった事実です。
■ 実験で証明された「音では分からない」という現実
以前、千葉営業所では、タイヤショップ様のご協力をいただき、 不動車のホイールナットを1本だけ意図的に緩めていただきドライバーさんにあてて貰う という検証を行いました。
参加したのは、
- ドライバーさん
- 内勤職員
といった50名近くのスタッフです。
しかし、結果は非常に明確でした。
音だけで“緩んでいるナット”を当てられた人は一人もいませんでした。
誰一人として、 「このナットが緩んでいる」と音で判断することはできませんでした。
つまり、 日常点検はしているが、ナットを叩くだけ。ではなにもわからない。ということです。
■ だからこそ“反対側の面に指を当てる”確認が必須です
点検時には、叩く側の手ではなく、 反対側の指をナットの裏側(叩く面の反対側)に軽く添えることが重要です。
この方法により、 ナットに伝わる振動を直接感じ取ることができます。
- 緩んでいる場合 → 「ビリビリ」としたような他のナットと違う異常な振動
- 正常な場合 → 「コンコン」と締まった響き
触感は、音よりもはるかに正確です。
しかし、ここでも現実は厳しく、
軽度の緩みであれば、指を当てても分からない方がいました。
つまり、
- 音だけではほぼ判断できない
- 触っても分からないほど微妙な緩みも存在する
ということです。
だからこそ、 “音だけで判断する”という行為は完全に無意味 と断言できます。
また、それとは別に、規格がかわったから、今のトラックは
「助手席側のナットが緩みやすい」
ということを聞いたことがありませんか?
■ ISO規格の“左右で緩みやすさが違う”という話にエビデンスはあるのか?
この点は誤解が多いため、整理しておきます。
✔ 昔の大型トラック
- 左側(助手席側)だけ 逆ねじ(左ねじ) が採用されていた
- 走行中の回転力で緩まないようにするため
- これは ISO規格の考え方(回転方向と緩み方向の関係) に基づく設計思想
✔ 現在のトラック
- ほぼすべて 左右とも正ねじ
- ホイール構造の進化により逆ねじが不要となった
- そのため、 「左側が緩みやすい」というのは“昔の構造の名残”であり、現行車両での明確なエビデンスとは言い難い
ただし、
- 路肩側の段差
- 左側の路面状況の悪さ
- 走行中の力のかかり方
といった理由から、 現場感覚として左側が緩みやすいという声が多いのも事実です。
■ 最終結論
**音だけでは絶対に分かりません。
だからこそ、反対側の指を当てて振動を確認することが必須です。 それでも軽度の緩みは分からない場合があります。**
ISO規格に関する話は、 昔の逆ねじ構造の名残による“現場感覚”で多少あり、 現行車両における明確なエビデンスとは言えません。
だからこそ、 音に頼らず、触れて、見て、総合的に判断することが安全につながります。
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